青海老まんが日記(漫画の感想文垂れ流し)

主に完結漫画の感想文。たまに自転車乗ります


主に完結した漫画の感想を書く。多分漫画の感想にかこつけたぶちまけになっていると思う。

基本的に漫画を読んで「xx 感想」と調べるタイプの人を読者として想定している。要は読んだ人向け。

タバタ式から辿ってきた方は、恐れ入りますがグローバルナビゲーションのロードバイクの部分から飛んでください。最近サボリ気味

無頼伝 涯 感想:スピードのある福本伸行


 漫画も人もいい所だけを見つめよう

 

 

無頼伝 涯 1

無頼伝 涯 1

 

 
 ご存知の通り『アカギ』や『カイジ』など量と質に充実した作家の代表選手である福本信行。顎の尖りなどツッコミどころもあるにはあるが、練り込まれたストーリーや出色の心理描写を実現する中で、この量産体制は信じられない。あの『遊☆戯☆王』も『カイジ』を参考にして完成を見たとまことしやかに言われている。

遊戯王 スターチップホルダー

( スターチップ。ペガサスの島で大活躍)

 そんな福本作品、唯一にして最大の欠点がある。いくらなんでも長すぎるのだ。

 先ほど例に挙げた代表作から述べるなら、『カイジ』は60巻以上、『アカギ』も36巻だ。30巻以上の作品は昨今珍しくは無くなってきたが、ちょっと心理描写がヘビーな作品なので、両者とも読むのに少し骨。そして巻数より問題があるのは連載期間である。それぞれ20年以上をマーク。とっつき辛いことこの上ない。

 そんな福本先生の入門書として最適なのがこの『無頼伝 涯』なのであった。その巻数全5巻(新装版全4巻)と福本作品にあるまじき短さだ。そこに彼のエッセンスが凝縮されていると言っては若干の言い過ぎではあるけれど、体験版ということでどうかよしなに。

 ……ま、打ち切りなんだけど。

 

スピードのある福本伸行

概要

  1. 著者(私の主観と記憶に準拠)

     福本信行。前述の通り『カイジ』や『銀と金』など著書多数。個人的には初期の『天』も好き。

  2. あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
     無実の罪で絶海の少年院(もどき)にブチこまれた涯が、青臭い自己主張に振り回されつつも知略を武器に大立ち回り。
     いつもの通り、気になる方はWiki(無頼伝 涯 - Wikipedia)でも見といてください。

     

    f:id:Blueshrimp:20181218160654p:plain

    (第3巻表紙。福本絵の特徴が前面に出ている(アゴとか))
  3. 概要(巻数、掲載誌・時期)

     全5巻。週刊少年マガジンで2000~2001年頃連載。

感想

  1. 出会い

    ロースおじさんが激賞していたので即購入。

    nuwton.com

    (非常に面白いおじさんなのでコラムを読むことを是非ともお勧めしたい。ヌートン以前が特におすすめ)

  2. 何故素晴らしいか

     我々が福本作品に求めるところはたった5巻と言えども網羅しているのではなかろうか。おそらく我々は「不条理」及び「現実ではありえない逆境」を、「なんとか思いつかないわけではない程度の知略」を使って「現実にはちょっと無理かもしれない実行力」で遂行し「100%ではないけれど目的は達成」するのを見たいはず。ついでに「人間臭い悪役がひどい目」に遭えばまあ福本作品として満貫なのではなかろうか。あとはぐにゃあざわざわか。

    ããã«ãããã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

    (ぐにゃあ。多分『涯』にはぐにゃあはなかった)


     求めるのはこんなところだろう。他には作品ごとに麻雀とか謎のゲームとかが導入されるけれど、それはあくまで小道具でしかない。まさか福本漫画を麻雀漫画だと思っている人はいないだろう。アレを麻雀漫画と評してしまうのは、『タッチ』を野球漫画だと言っているようなものだ。いや、まあ野球漫画なんだけど。あれはジャンルは「青春」だから。もっと分かり易く言うと、『銀河鉄道999』を鉄オタに薦めるようなもんだ。モノとして鉄道を採用しているだけで、別に軌道エレベータでもスペース・シャトルでもなんでもよい。

     で。今回『涯』を書くにあたって福本先生が採用されたのは「絶海の孤島」である。非常に分かり易いし、これは『カイジ』の例の船である。まんまそれ。要は「常識が通用しませんよ」ということを言いたかったに過ぎない。

     そして主人公は孤児であり、同級生を完全に見下している冷めた(中二病ライクな)中学生であり、更には殺人犯の濡れ衣を被る。まず「不条理」や「現実ではありえない逆境」はクリアだ。

    f:id:Blueshrimp:20181218162456p:plain

    (警官隊に取り囲まれる。クリアー)

     ちなみに。漫画を褒めて褒め千切ろうがコンセプトの当ブログではあるが、ここばっかりは少しいただけなかった。上記の不幸不条理設定てんこ盛りでは、読者は明らかに感情移入出来ないのだ。そこのとこを抑えられなかったのが、『涯』の敗因(打ち切り)かもしれない。というか、間違いなくそこだろう。福本先生も「読者が掴めなかった」と言及されているので、自覚はあったのだと思う。少年誌ではキツいはずだ。こういうのは、ダーク・ファンタジーにまぶして「あちら側の世界」と認識しなけりゃ流行らんのよ。『カイジ』とかはもう完全に「あっち側」である。

     閑話休題。舞台設定が整えば、あとは「知略」と「実行」に伴って「目的の部分的達成」が行われればOKだ。その辺りは漫画を実際に読めば「なるほどね~」となること請け合いなので、ここでは割愛したい。なぜって、皆さん漫画読んで「涯 感想」とかをGoogleに打ち込んでここまで来ているんですよね? そうでない人は帰った帰った! さっさと漫画を読むんだ! Kindleでもなんでもいいから!

     そして最後にこの物語を支えてくれた小悪党である課長を紹介して終わろう。上で述べた「積極臭い悪役」に相当する彼であるが、自己保身のためにはどんな手段も厭わないその精神に乾杯したい。彼の指図一つで黒服は全員動く。結構人望あるんじゃない?

    f:id:Blueshrimp:20181218163806p:plain

    (電撃を喰らう課長。小悪党ぶりが泣けてくる)

     生徒を更生させるという信念を持ったおじさんである。上にへつらい下に鞭打つ最低な管理職でかつ割合無能なのであるが、何故か課長という地位に納まっている。人望意外に考えられない。もしかしたらトネガワさんよろしく休日にはバーベキューとかやってるのかもしれない。
     

  3. その他雑感

     実はこの漫画「だけ」を胸を張ってオススメは出来ない。おそらく作者は書きたいことの1/10も描けなかったことだろう。キャラの掘り下げも中途半端というか、全く行われていない。私はこの漫画を福本漫画における吉野家と位置づけたい。安い、早い、そこそこだ。入門書にどうぞ。
     

まとめ

  • 不条理あり
  • 小悪党あり
  • お手軽

 

 まあ少年誌ではウケないだろうな。

  その他打ち切り漫画に関する過去記事はこっち(↓)。
 

blueshrimp.hatenadiary.jp

blueshrimp.hatenadiary.jp

 


 じゃあのノシ

 

青海老

 異論/反論や取り上げて欲しい漫画があればコメントくだされば幸いです