青海老まんが日記(漫画の感想文垂れ流し)

主に完結漫画の感想を語ります。たまにただ語ります


 主に完結した漫画の感想を書く。多分漫画の感想にかこつけたぶちまけになっていると思う。基本的に漫画を読んで「xx 感想」と調べるタイプの人を読者として想定している。要は読んだ人向け。

 タバタ式から辿ってきた方は、恐れ入りますがグローバルナビゲーションのロードバイクの部分から飛んでください。最近練習サボリ気味

【第百十回】陽だまりの樹~俺たちはどう生きるか~


 漫画も人もいい所だけを見つめよう

 

陽だまりの樹 1

陽だまりの樹 1

 

 
 一切遊び無し。いや、神なりの遊びはあるんだけど当然全てが必要な要素なのだ。

 

 

俺たちはどう生きるか

概要

  1. 著者(私の主観と記憶に準拠)

    手塚治虫。神。

  2. あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
     世渡り下手で、直情径行の武士伊武谷万二郎と、メリハリの利いた要領の良い医師の手塚良庵が幕末を生きる。
     いつもの通り、気になる方はWiki(陽だまりの樹 - Wikipedia)でも見といてください。充実ですけど、漫画を読む前に見るのはかなりおすすめしない

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    (文庫版表紙。私が持っているのもこのタイプです)
  3. 概要(巻数、掲載誌・時期)

     文庫版全8巻。ビッグコミックで1981~1986年頃連載。
     

感想

  1. 出会い

     名前は知っていたけど読んでない手塚治虫神シリーズです。他にもベートーベンのやつとか、七色いんことかも読んでないケド。

  2. 何故素晴らしいか

     幕末というテーマは個人的にはどちらでもよく、やはり二人の対照的……とも言える生き方にフォーカスしたい。

     武士の万二郎は直情径行のいかにもな武人……と書くとテンプレートな頭が固い人物にも見えるが実はそうではない。
     人並に嫁も獲りたいし、出世欲も無いわけではない。要領とタイミングが悪い自分を責める場面は劇中多々存在する。のんだくれるシーンも珍しくない。

     なんだこれは。私ではないか、というのが中盤までの感想。どこかで手に入れられたかもしれない嫁を逃し、上の人に引き垂れられる場面も稀にあったが、みすみすチャンスを逃す場面も多かった。他人からはそれなりに評価されるが、何故評価されているのかも分からず、気づけば年ばかり重ねている。もっとも、私に何かを統率したり先導したりする能力はないが。つまり自分の不器用な部分を彼に重ねてしまっているのだ。非情に共感できる人物として描かれているように私には見受けられた。各話の解説にも、手塚治虫自身はこういうタイプなのではなかろうか、という旨の解説も見受けられた。

     対して良庵。根っからの遊び人でやるときはやる、という少年漫画の主人公のような人物。機転が効き、存外に義理堅く人脈もある。遊びの中から何かを発見することも多い。家督を継ぐことを嫌がった節もあったが、腹を括ればなんでもやるし出来る。こういう人間に私はなりたかった。多分、要領の悪い人間は皆彼をうらやむ。果たして、最終的には陸軍軍医として成功を収める。

     しかしどうだろうか。俺は本当に良庵になりたかったのだろうか。そこが分からなくなってしまった。しかし万二郎でありたいとも思わない。

     万二郎は最終的には歴史に名前を残すことなく散っていく存在として描かれる。能力を持ちながら、時代に翻弄されるも自分の信念に散っていく。

     はっきり言って、とても魅力的な人間なのだ。こういう風に生きたいと猛烈に思わせるに足るキャラクターで、男から見ると格好良く映る(女性はどう捉えるかは、私には分からない)。

     一方で、やはりこうはなりたくないと思わせるのもまた事実である。現代社会に置き換えると、それなりに優秀な社員なのだが社内政治に巻き込まれ、気づいたら劣勢の常務についていて、そのまま日の目を見ることなく失脚(というか、失脚するほどの地位も無い)、転職という流れをバッチり抑えていること請け合いである。とてもではないが、こうはなりたくない。

     万二郎の生き方を真似したいが、結果としても成功したい。これの両立の方法を誰か教えて欲しい。どう生きるか、ということである。

     じゃあ良庵になりたいかと言われると、はっきり言って憧れはあるがなりたくはないというのもまた別の答えとして明確にある。一ヶ月手塚良庵体験キャンペーンなるものがあれば、嬉々として参加するだろう。ただ、ここまで右に左にふらりふらりとして時代に翻弄されるのははなはだ本意ではない。劇中もそのジレンマに苦しむ良庵が描かれている。有能が故に、意図して/せずに背負うものが増えて行ってその重さ故に生き方を規定されてしまう。そんな悲哀も上手く描かれている。成功とはかくも苦しいものか

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    (私はどう転んでも自他ともに認める万二郎型である)

     いいとこだけとりてえなァ……と思うも、そうは問屋がおろさんか。
     

  3. その他雑感

     はっきり言って(というのは、鼠の口癖である)物語としての魅力は私には分からない。ストーリーラインよりも、対照的と片付けるにはあまりに複雑(でかつ、現代社会においてもしばしばみられる事例)な二人の関係を追ってしまうのだ。

     

まとめ

  • 万二郎には憧れるが、ああはなりたくない
  • 良庵のようにもなりたいが、憧れはしない
  • いいとこどりって出来ないんですかね。

 

 結局のところ、こういう経験を漫画という体験で追体験できる我々は万二郎や良庵よりも恵まれているとしか言いようがない。俺たちはどう生きるか、という言葉には、答えは未だ用意できていないのだが。
 
 じゃあのノシ

 

青海老

 異論/反論や取り上げて欲しい漫画があればコメントくだされば幸いです