青海老まんが日記(漫画の感想文垂れ流し)

主に完結漫画の感想文。たまに自転車乗ります


主に完結した漫画の感想を書く。多分漫画の感想にかこつけたぶちまけになっていると思う。

基本的に漫画を読んで「xx 感想」と調べるタイプの人を読者として想定している。要は読んだ人向け。

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炎の信長・戦国外伝 感想:これぞ歴史マンガ


 漫画も人もいい所だけを見つめよう

 

炎の信長・戦国外伝 (少年キャプテンコミックス)

炎の信長・戦国外伝 (少年キャプテンコミックス)

 

 
 本ブログでは出来るだけマイナーメジャーな作品の感想を述べてきたつもりだが、ついにマイナー中のマイナーな作品の感想を語っておこうと思う。なぜなら、私が語らなければ歴史に埋もれてしまうからだ(まあ語っても埋もれる)んだけれども。

 歴史漫画。昨今売上が伸びているようで大変喜ばしい。

 歴史漫画には大きく分けて三つのタイプがあると思っている。
 一つは、「正しく歴史を伝えること」を目的にした漫画だ。これは『(マンガ)日本の歴史』などが代表的で、いわゆる小学校にあるタイプのやつ。毒にも薬にもならないものが(少なくとも以前は)多かった。

 

 
 今ちょっと覗いてみたら、なかなか絵がかわいくなっているのでやっぱり何事も進化していくのだなと驚いているのがアラサーの私であります。小学生が羨ましい!

 二つ。これは歴史を下敷きにした「創作」である。漫画であれば今なら『キングダム』なんかがその筆頭だろう。小説まで含めると、司馬遼太郎一連の作品なんかが相当するかもしれない。『竜馬がゆく』なんて! とてもとても史実かどうかは怪しいものである。所謂「司馬史観」が多分に入り込んだ作品であり、司馬作品以外でも、例えば2000年以上前の中華なファンタジーなんかは、完全にソレである。タイムマシンでもなけれりゃあ、「xx史観」になるのはやむを得ないわけで、別段否定もしない。

 で、その三。このグループは「正しい歴史の解説」と「面白さ(ギャグなど)」という、普通に考えたら両立しえない両者の両立を求められた、それはもうどうしようもなく作者や編集者に負担がいった作品群である。ウソはかけない。しかし、面白くしなければいけない。さあ困った。力量が出るぞ。代表的な作品は……漫画だとパっと出てこないな。小説なら城山三郎の『落日燃ゆ』『指揮官たちの特攻』など戦争者がパっと出てくるのだが……。ちなみに、戦争者はこの「3」に該当し易い。なぜなら、資料が豊富で空想が入り込む余地がほとんどないからだ。

 しばし考えたが、やはり漫画では好例が無い。そう、この『炎の信長・戦国外伝』をを除いては!!!

 

 

これぞ歴史マンガ

概要

  1. 著者(私の主観と記憶に準拠)

    ご存知島本和彦。ドラマにコミケに絶好調だ。

  2. あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
     歴史をねじまげ世界を支配しようとする「自牙忍者」を追いかけ、タイムパトロールよろしく21世紀から戦国の世にニンジャマンが参上する。忍者でありながら「自我」をもってしまった自牙忍者を殲滅せんと、老いた初代に代わり二代目ニンジャマンが「本物の信長」と歴史を守るべく奮闘する。
     いつもの通り、気になる方はWiki(炎のニンジャマン - Wikipedia)でも見といてください。

     

    (信長公の出番は十二分。器量と態度がでかい)
  3. 概要(巻数、掲載誌・時期)

     全1巻。小学六年生で1992~1993年頃連載。

感想

  1. 出会い

     信長モノ、大好きです。特に好きなのは『内閣総理大臣織田信長』で、嫌いなのは信長が女の子になるタイプになるやつです。女にする必要があるか!
     さて、本書の名前は知っていたがしばらく敬遠していた。だって、絶版だし。ところが某古書通販サイトで在庫があるとのことで、ポチって読む。そこからはもう、爆笑ですよ。爆笑。

  2. 何故素晴らしいか

     まず、なんでこんな漫画が「小学六年生」という極めて読者が限定された雑誌にしか連載されていないのか! 日本の損失だよ! 『ポケスペ』もそうだけど、もっと読まれる場を増やせばこんなこと(絶版)にはならなかったんだ! サンデー本誌に連載していた「ニンジャマン」を流用しただけだと思うが、初見では何がなんだか驚いた小学六年生も多いはずだ。というか、小学六年生に理解できるギャグの範疇を超えているぞ! アスキー連載かと思ったよ! ワンダービットと全く同じ匂いがしたね。

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    (武田勝頼本人と、入れ替わった自牙忍者がシンパシーなシーン。小学生にこのギャグが分かるとは、俺には思えない)

     前置きが長くなったが、素晴らしいポイントを述べておこう。ネットの海に画像がてんで転がっていないので、文章で失礼つかまつる。

    (右サイトに画像は一部存在したので、拝借しております:長篠の戦いの謎を垣間見る「炎の信長戦国外伝」:本棚持ち歩き隊!:So-netブログ
     
     「歴史を正しく伝えていること」。これがまず大事。当たり前のことだが、変な人間(例えば未来から来た、とか)が混じると、これが出来なくなるのが世の常である。未来が変わってしまうのである。

     「これも歴史変わってるジャン」というあなた(そんなやつがいるのかどうかは知らないが)、本書をちゃんと読むと、各合戦の結果やキモはちゃんと歴史を踏まえているのである。武田の騎馬軍が鉄砲隊にちんちんにされたとか、秀吉がしんがりで踏ん張ったとか。そういうおさえどころはおさえているのである。
     ちなみに、歴史修正という意味で最強の作品は、田丸浩史の『レイモンド』である。なにせ、一休さんがシリアルキラーになるのだから目も当てられない! 

    レイモンド 1 (ドラゴンコミックスエイジ)

    レイモンド 1 (ドラゴンコミックスエイジ)

     

     
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    (すきすきすきすき……ではなくて。レイモンド、おすすめです)

     この作品の最大の特徴は「ウソ(脚色)がめちゃめちゃ分かり易い」ということである。逆に言うと、この程度のウソをウソと見抜けない人は、(マンガを読むのは)向いていないのではないか。小六であっても。

     ホンマかいな、という人は是非一読いただきたい(読んでるとは思うけど)のだが、未来人が引き起こしがウソを覚えている範囲で書き下す。
    ・秘薬「ベンザブロック」で武田信玄の病を治す
    ・信長に「軍艦」を作らせる
    ・宣教師や武田勝頼らと「入れ替わる」(やってることは、ほとんど史実通り)

     ……などなど、要はマトモな脳みそがあれば「ああ、マンガやね」と納得できる内容になっているのだ。

     この、ギャグと史実の切り分けが本書最大の見どころであり、続く歴史漫画は見習ってほしいポイントに他ならない。あと、信長の天下統一までの道程をサクっと一冊にまとめたのはなかなかコンパクトなのではなかろうか。エッセンスの凝縮だ。

     しかしやはり漫画。面白くしようとすると歴史が曲がってしまうのは致し方ない。が、最終的に読者に正しい歴史が伝わればそれでいい。
     ラストシーン。自牙忍者の失策で生き残ってしまった「本物」の信長だったが、それもしっかりと明智光秀によって殺される。

     信長にストレスがたまっていた明智光秀。ニンジャマンから「正しい歴史なら、あなたが『三日天下』を獲れる」と耳打ちされる。三日、という事実に一旦は傷付く光秀であったが、「されど三日」ということで考えなおし、持っていた刀で「たとえ三日でも……」と声を絞り出し信長を殺害。かくして歴史は正常に戻ったのである。

     こういった方向転換と是正、味があるなあ。

  3. その他雑感

     この時期は仕事がなかったのか、こんな(失礼)連載にもフルパワーである。まあ忙しくても島本氏はフルパワーだろうが。こういう仕事にも全力投球できる先生には改めて敬意しかない。 

まとめ

  • ギャグと歴史の両立
  • 「ウソ」は「ウソ」と分かるように
  • 明智光秀の気持ち、わかるわ~

 

 返す返すも、やはりこんな漫画が歴史に埋もれるのは惜しいのである。全国の図書館に置いて欲しい。

  関連する過去記事はこっち(↓)。歴史もの、いいですよね。

blueshrimp.hatenadiary.jp

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 じゃあのノシ

 

青海老

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