青海老まんが日記(漫画の感想文垂れ流し)

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化石の記憶 感想:ハードボイルドたがみよしひさ


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化石(いし)の記憶 (Vol.1) (秋田文庫 (22-3))

化石(いし)の記憶 (Vol.1) (秋田文庫 (22-3))

 


 ギャグに全力を捧げるたがみよしひさ(お江戸忍法帳とか)も好きだし、もちろん世間の求めていた青春群像劇作家としてのたがみよしひさ(軽シン)も好きです。で、たまにゃハードボイルドもいいんじゃない? ってのがこの作品でございました。

 おっと、ハードボイルドって言っても中途半端ではないのだよ! そのあたり、ゆめゆめお忘れなきよう。

 

 

ハードボイルドたがみよしひさ

概要

  1. 著者(私の主観と記憶に準拠)

     たがみよしひさ。一時期消息が分からず(私が)心配したが、2018年現在はTwitterで元気そうなので胸をなでおろす最近です。軽井沢シンドロームで大当たりしたけど、基本的にはなんでも屋さんの認識です。

  2. あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
     現代に恐竜が出現している。その謎を解き明かすために大企業から一研究者までが吸い寄せられるように問題の地に集まる……と書くと、なんか軽シンに構造が似ているな。今初めて気付いた。
     いつもの通り、気になる方はWiki(化石の記憶 - Wikipedia)でも見といてください。異様に充実している。

     

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    (B5版表紙。個人的には文庫版の装丁が好きかな)
  3. 概要(巻数、掲載誌・時期)

     B5版全3巻。プレイコミックで1985~1987年連載。

感想

  1. 出会い

     買ってはいたけどしばらく読まなかった作品のうちの一つ。なぜならって……重そうなんだもの! ちなみにタイトルの読みからは「いしのきおく」。この表記とルビが全然違うのはお家芸ですな。タイトルから繰り出されると格好良さ倍増。

  2. 何故素晴らしいか

     ギャグに進まなかった、そして徹頭徹尾ハードボイルドに徹した! これに尽きる。

     ご存知の通り、たがみ先生はギャグの名手であらせられる。八(?)頭身と二頭身を華麗に切り替えつつストーリーを進行させる手法は2018年現在ほぼ誰も採用していない。誰も真似出来ないのだ。ろくでなしぶるーちゅとか、ある種の四コマなんかは偶に使っているけれど、ビッグ・プレイヤーでそういう人はいないんじゃないかな。
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    (こういうやつ。意外に後進が真似しない)

     で、こういう強烈な武器があってこれを使わないっていうのは非常に勇気が要ると思うんですよ。少なくとも、ある種の決断は要求されるわけです。

     ところがどうだ! この作品に関しては、「当然そのギャグが挟まれるシーン」と読者が想定した場面でも全然それを挟まないじゃないか。これには初めて読んだとき驚いたね。
     大体からして、たがみ作品は島耕作と同じかそれ以上にセックスの比重と重要度が高い。これがなけりゃあ話が進まない。そしてセックスを真顔で書くと(読むと)非常に疲れるのでギャグに熱いパトスを逃がしてくれていた。それで僕らも肩の力を抜きつつ読めたってモンですよ。島耕作だってギャグに逃げている。

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     (舐めてんのか)

        ちなみにマンバ通信(島耕作のスピード感は、『君に届け』を2コマで置き去りにする – マンバ通信)は上田啓太を中心に異様にFantasticなので是非読んで欲しい。こういう書評がしたいものだ。

      で、適度にセックスを挟みつつ話が進む。このあたりの構造は島耕作そっくりだ。

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    (もちろんサービスシーンは適度に存在する)

     ところがまたストーリーが重いんだな。そして極めて複雑。正直一読ではストーリーの全ては分からなかったとここで告白しよう(登場人物の区別が付きづらいのも理由の一つだが)。

     だけれども、そのストーリーが分かりにくいってのも格好良さの秘訣なんだと思うね俺は。何も分かり易いのが正義じゃない。あえて若干分かりにくい表現方法を採用する(時系列の入り乱れや猛烈な場面転換)により、読者に集中力を要求し、物語に引き込む。素晴らしい手法だ。小説で言うと、筒井康隆を彷彿とさせる。虚構船団とか最悪だったな(褒めてるケド)。

     肝心の内容。Wiki見れば過剰な充実が発見出来るので、ここでは割愛する。筋事態はどうということはない。少なくとも2018年現在から見れば「その手があったか!」ということは絶対にない。時間に囚われる話というのは火の鳥の「やおびくに」とかスペース☆ダンディとかでさんざんっぱらご馳走になっている。
     この二つを同列に並べるのはそれはちょっと……ということであれば、エンドレスエイトをつけ足してもいい。最近書評も出たし。 

    エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える

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     劇中で何度も「ドラえもん」とか「のび太の机」が言及されている程度にはSFしている作品である。筋の感想を述べるなら「ともすれば取っ散らかってしまうSF推理小説を、多少の強引さはあるけれど上手くまとめた」になるだろうか。流石に最後のスピード感は強引さを若干感じてしまったが、まあうまくまとまっているのではなかろうか。多少の無理筋はハードボイルドが打ち消してくれる。
     

  3. その他雑感

     作者の例外に漏れず星の如く女が出てきて主人公の前から去っていく(死人含む)。ストーリーのためには躊躇なく女を殺せる、というのは最近は見ないなあ……
     

まとめ

  • ギャグ封印
  • ちょっとSF
  • 文句なしハードボイルド

 

 SFハードボイルドって油断するとギャグになっちゃうのよね。悪いことではないんだけど、そういうのは若干食傷気味ではある。筒井康隆を越えられるのか、というと疑問符な作品が多いのだ。

  関連する過去記事はこっち(↓)。多分(若干)ハードボイルド

 

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青海老

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