原秀則と言えば心の機微とイイ感じの魅力的な女の子を描けることで私の中で信頼度極大なんですが、もう一つ忘れてましたね。
主人公を成長させるのがめちゃめちゃ上手。
これ大事です。そしてもう一つ大事なのは、「別に漫画読んでるだけでは俺たちは成長できない」ってコトですね。
いや、主人公に感情移入して、その主人公が頑張って結果を出して成長する、そこが面白い。自分が努力しなくても同じ立ち位置だったはずの主人公に感情を投影しているからこそ、彼らの成長を実感できる。そして原秀則はその「投影させる能力も上手い」のだ。
[:contents]
感情移入が出来るヤツ
概要
-
著者(私の主観と記憶に準拠)
原秀則。当ブログでも再三の登場。個人的にはやったろうじゃん!! が一番好きです。
-
あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
大学四年生の唐沢周、そろそろ就活せにゃならんと重い腰を上げるが全く決まらない。そんな中彼女は早々に内定を決め心の距離が離れたところで別の女が寄ってきて三角関係に……という原秀則的王道。なるべくネタバレしたくないので、詳細は読んでくださいって感じで。
いつもの通り、気になる方はWiki……ないじゃん! 誰か書いてよ!
最終巻表紙。上手く働いてる感じなのよ。 -
概要(巻数、掲載誌・時期)
全8巻。ヤンサンで1997~1999年頃連載。
感想
-
出会い
中期の原秀則は全て摂取したいと考えているのでガサっと読みます読みました。
-
何故素晴らしいか
例えば、前提として僕等が『ルーキーズ』を読むとき、それは自分なりの苦境や逆境を重ね合わせて読み込んでしまう。安仁屋のシリアスに痺れ、貝塚のギャグに笑い、新庄の加入に泣く。彼らを率いる川藤に僕らが惹かれるのは、必然的に彼らの目線や立場を通してでしかありえない。
良いことか悪いことかは置いておいて、多くの人がそうなるだろう。追体験というよりは、誰かの体験を借りているにすぎない。
もちろん漫画ごとに僕等が求める役割は異なるので単純に比較は出来ないが、この『SOMEDAY』は随分毛色が異なると僕は感じていた。
就職活動に苦しむ唐沢。主な理由は”本当にやりたい仕事が見つからない”。
やりたい仕事。永遠のテーマであると思う。今現在の僕にとっても喫緊の課題であるし、また10年後もそうであると思う。本当にやりたい仕事がいつ見つかるのか、それが就活のタイミングなのか、周囲は皆内定をかき集めており、そんなチンケなプライドや思いは本当に必要なのか――。
そう、他の漫画との決定的な違いが主人公の悩みが等身大の僕等と同じということなのだ、と僕は思っている。
正直なところ、甲子園に優勝しないと、だとか魔王をブっ倒なきゃだとか、あるいは学年一のイケメンとくんずほぐれつなんぞは僕等の世界線とは、はっきり言ってかけ離れているとしか言いようがない。真の意味で感情移入して読み込むのは相当厳しいものがある。一歩引いた目線で見てしまう時もある。冷めてしまうのだ。
くりかえしになるが、それはテーマ性の問題で、決して漫画の良しあしを規定するものではない。ただ、今社会に飛び立たんとする僕等にとって真に感情移入できるのは唐沢なのである。そういう漫画は、実は珍しかったりする(就活漫画は、他に『サツリクルート』しか知らない(笑))
ちなみに、最終的には唐沢は自分の信念を通し続け、やりたい仕事を探し出す。是非自分の目でみて欲しい。
-
その他雑感
”やりたいこと”は個人的には探さなきゃ見つからないと思っている。この漫画の唐沢はそれを探し続けたから(+若干のラッキー)こそ見つかったのであり、それは日々を一生懸命生きるのとは別問題である。毎日穴を掘ってそれを戻す作業をし続けていてもそれが見つかるとは僕には思えない。
しまった、漫画の感想が少ない。前半は他の就活生の形を真似るも、持ち前の正義感というか大事な一本が全てを邪魔して上手くいかないパート。後半は政界に向かって動き出すパート。種まきと採集が明確に分かれているので、話の構成としては極めてシンプルで雑味がないと感じた。
まとめ
- 等身大の僕等の代弁者に感情移入
- やっぱ女の子かわいい。自立しているのがいい
- 雑味なくシンプル
ちなみにすげーかわいくて理想的な2タイプのヒロインが出てくるのがイインですよ。久しぶりに迷ったね。鹿島みゆきと若松みゆきくらい迷った。
この二択、ズルくない?
他の原秀則作品はコレ。女の子がめっちゃくちゃかわいい。
就活とは別軸の浪人生の悩みはコレ。漫画の感想じゃなくなってるけど。
じゃあのノシ
青海老