
てけてけマイハート (1) (バンブーコミックス 4コマセレクション)
- 作者: 竹本泉
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2014/05/02
- メディア: Kindle版
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日常系全盛……は少し過ぎたか(2018年1月現在)。一昔前は「けいおん!」とか「ゆゆ式」とかが猛威を振るっていた。箱庭を上から見つめている視点で楽しむ、とはなかなかどうして上手い表現ではなかろうか。ちなみに「日常」とか「それ町」は日常系ではないと思っているが、この認識でOK?
で、この作品である。うん。マイナーなのは分かっている。だって竹本泉だもの。一番有名なのは「あんみつ姫」か? う~ん、うじゃうじゃですね。
ちなみにタイトル見て「突撃ラブハートじゃん! マクロスはやっぱり7ですよね!」と思った方、同士です。仲良くしてください。
これがホントの日常系
概要
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著者(私の主観と記憶に準拠)
竹本泉。色々紹介しているので省略。他の記事に載ってるはず
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あらすじ(これも私の主観記憶に準拠)
ベビーフェイスな妻が毎日のんべんだらりする話。旦那との出会い⇒出産までを追った牧歌的日常コメディ。
いつもの通り、気になる方はWiki(てけてけマイハート - Wikipedia)でも見といてください。
(最終巻表紙。私の中で嫁にしたいヒロイン第一位だ) -
概要(巻数、掲載誌・時期)
全10巻。まんがライフで2000~2012年頃連載。
感想
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出会い
私の中で大・竹本泉ブームが巻き起こっていた折に購入。よみきりものの、とかはよく読んでいたが、当時ストーリーが繋がっている竹本泉作品は全く手に入らなかったのだ。絶版に次ぐ絶版、掲載誌の消滅などなど諸々の理由。
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何故素晴らしいか
俺たちの日常はこれだ!!!!
基本的に日常系、大好きです。その中で、時間がゆるやかに経過するパターンの作品は実は結構珍しかったんじゃないかと思う今日この頃です。
でもそれ以上に、やっぱり女子高校生がキャッキャウフフする作品は僕たちの日常ではないんですよ。あんなんミニ四駆とかヨーヨーで世界を救ってるのと同じぐらい違う世界線なんです。僕の教室にハルヒはいないのだ。
だからこの作品ですよ。主人公はいそうでいないタイプの代表格であるOL引退の家事手伝い娘。合コンで絶対出てこないけど、世の中のどこかにいるはずだと(僕は)信じている。男側は順風満帆な中学教員。大変なんだぜ、教員って。
そう、俺たちはリアルを求めているのではない。日常を求めているのだ。数パーセントの確率であり得たかもしれない未来、多分絶対ないけど「あ~こういうのあるかも~」と思わせるようなそんな未来を感じて生きていたいんだ!(妻がこういう悩みを抱えている、というのが僕の理想の日常なのである。あり得たかもしれない世界線だ)
何を目指すでもなく、のんべんだらりと毎日を過ごすタイプの作品。それでも毎日は進んでいくし、何かしらを獲得していくわけで。そういう日常に抗うでもなく、また攻め立てるでもない人々が美しくて。最近だとこの世界の片隅で、に近いかもしれない(と言うと、両方のファンに怒られるかもしれないが僕は本質的には同じだと思っている。ちょっと成分と食べ方と、用法容量が違うだけだ)。
眩暈がするような、あるいは急き立てられるような毎日を過ごしている僕にとって、とても大きな意味をもつ作品。こうやってメッセージ性を感じさせる意図は全くなかったと思うけど。
でも、こうやって毎日楽しむって現実では凄い難しいことなのよね。毎日楽しかったり、へこんだり、落ち込んだりもするけれど私は元気です、なんて気を張って生きるのも悪くはないけれども、それを表に出さずに楽しんでいて、一喜一憂も楽しみに変えてしまうような、そういう生き方のベンチマークのような気がしないでもない。
旦那にべったり、とかそういうわけでもなく楽しそうな雰囲気。結婚しなくても、しても多分楽しそうで。
楽しそうな雰囲気だけだして、という人は現実にはほとんどいないし、なんかしらみんな抱えている。そう見える人も、多分何か抱えている。あるいは、何かを抱えて生きてきた。
そういったものを全て取り払って、毎日を楽しんでいる様が描ける。これって、フィクション以外ではなかなか描きづらいことではなくって?
(前半と後半で私が追記した時期が違うので熱量に若干の開きがありますが、ご了承いただければと思います)
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その他雑感
さすが毒のない吾妻ひでお。毒が無いっていうのはマイナス要素ではなくて、それはそれで美しいものなのです。
ちなみに、うじゃじゃ、みたいな作品も好きよ、私。オーバーオール、好きなのです。
まとめ
- あり得たかもしれない世界線を楽しむ
- 天然ヒロイン(欠点ももちろんあり)も日常系のだいごみ
- 毒無しの安心設計
あーあ、結婚してぇなぁ……というのは間違いか。幸せになりたいだけなのよ。現実はこういう風にならないよ! という批判は一切受け付けておりません。そういうんじゃないから、これ!
じゃあのノシ
青海老