漫画は、読む人を選べない。だから女子高生が主人公の漫画をおじさんが読む。漫画として(漫画家ではない)は不本意かもしれないけれど、君たちはおじさんにしゃぶり尽くされる運命なのだ。
……ということで、「おじさん、それも高度に洗練されていないタイプのオタク」が『恋は雨上がりのように』を読んだ結果wwwww、という観点での感想を述べる。
ざっくり言うと、「カリ城のルパン再び」である。もちろん解説する。
(こういう製品を見つけた。誰が何のために買うのか。結婚式用か?)
xx
概要
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著者(私の主観と記憶に準拠)
眉月じゅん。スピリッツ系列などで読み切りを連載。本作でめでたく大ヒット。全然知らんかった。
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あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
女子高生がなぜかうだつの上がらないファミレス店長にホの字! ド直球な告白をしたにも関わらず煮え切らない店長の揺れる心情の明日はどっちだ。
いつもの通り、気になる方はWiki(恋は雨上がりのように - Wikipedia)でも見といてください。
(第3巻表紙。あどけなさが残るクール系美女。『けいおん!』の澪ちゃんやね) -
概要(巻数、掲載誌・時期)
全10巻。スピリッツ系列で2014~2018年頃連載。
感想
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出会い
おそらくドラマ化かアニメ化したのだろう(実際していた)。レンタル落ちが某CDショップに山積みされていた。もちろん購入。結果的にとは言え、女性向け漫画は流行り廃りが激しすぎる。
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何故素晴らしいか
カリオストロの城(以下カリ城)のラストシーンを覚えておいでだろうか。そう、あの名台詞……
(痺れるゥ)
「奴は大変なモノを盗んでいきました」。いや、これもいいんだけれど。問題はそこではない。
……そのちょっと前! そのちょっと前を思い出して欲しい!
あーそうそう。ここです。ここで止めて欲しかった。カメラを止めて欲しかった。
解説不要かとも思うが、念のため解説しておく。このシーンはカリオストロ公爵に関するゴタゴタを全て解決した後、クラリスがルパンに「私も連れて行って(意訳)」とのたまうシーンなのです。クラリスはもちろん抱きしめられるのを待っている。憧れのおじさまと生涯を共にしたい。そういう乙女の宣言なのだ。
果たしてルパンはどうしたのか。問答無用で抱いたのか? その場でルパンダイブを決め込んだのか? あの「ムフフ」という下卑た笑みを浮かべたのか?
彼は抱かなかった。抱きしめなかった。ここの顛末は『アオイホノオ』に随分細かく描いてあるので、各自参考にして欲しい。一つ言うならば、古いタイプのオタクは「あ~こういうところはやっぱ抱いてはいかんのだね。勉強になるわ~」という行動規範を、好む好まざるに関わらず刷り込まれた。それは間違いない。(島本和彦、キャリアを重ねたここに来て代表作を上市。なんというバイタリティだ)
さて、では『恋は雨上がりのように』に戻ろう。小説家志望バツイチのおじさんが美人女子高生の告白される、という春よもう一度精神でこの漫画をおじさんは読んだ。少なくとも俺はそうだ。みんなもそうだろう!?
そして思った。「嗚呼、やはり俺たちは間違っていなかったのだ……」と。ここまで歩いてきた道程を全行程された、そう思った(と言えば明らかに言い過ぎだが、気持ち的には、ね)。
我々に代わって女子高生からの告白という重労働を引き受けてくれた、典型的な中年オヤジの近藤さん。作者からもおそらく記号としての中年オヤジを具現化した存在として取り扱われているものだろう。そこには近藤さん彼自身の意思は無く、古いオタクの代表選手として我々が、作者が送り出した希望の星なのだ。だから、彼の行動は我々(誰?)の総意であるし、我々も彼の行動を尊重し、また手放しで称賛したい。
もっとも、近藤さんは鋼の人だ。冬の真冬に、自分のことを想って寄り添ってくれる女子高生。男は皆狼だ、という理屈を採用するならばこんな千載一遇ノチャンスに抱かないということは果たして出来るのだろうか? おそらく普通は出来まい。少なくとも、俺は抱く。据え膳食わぬは男の恥とはよく言ったものだ。(なぜならば、今抱かなければ俺は『ノスタル爺』になるからだ)
ちなみに、かなり序盤から女は近藤さんの元を訪れている。このことから読み取れるのは、彼はEDである……ということではなく、やはり鋼鉄の人だと言うことだ。フィクションだから取れる行動だ。もし現実世界でこんなことをしたら「フニャチン」だの「ホモ」だの噂されるだろうし、何より恰好が付かない。「まままママがこここいうことしちゃいけないって、言ってたんだな!!!!」とか言う。少なくとも俺は言ってのける。格好悪いオタクになる。しかし彼は恰好良くて、我々が取りたい行動の最善手を選んでくれる。そこにフィクションとしてのこの作品の素晴らしさが現れているのではないか。(絶対抱くでしょ普通)
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その他雑感
ちなみに、ヒロインとしてのこの女は、俺はそんなに好みじゃない。言語によるコミュニケーションが下手過ぎて、行動でしか気持ちが示せない。しかもそれがめがっさ極端にょろ。こういう女は得てしてメンがヘラる可能性が高いと俺は見ているし、多分あながち間違っていないはずだ。
(「めがっさ~にょろ」構文ってもう死にました? まだ大丈夫?)
まとめ
- カリ城の精神に支配されたオタクの同窓会
- 据え膳食わぬは男の恥な現実をフィクションで肩代わり
- ヒロインはメンヘラ気質。まあ若いからいいんだけど
もしも現実世界でこんなこと(バイト先の女子高生を部屋に……)が起こったならば、即通報案件である。いやあ、漫画って本当にいいもんですね。
関連する過去記事はこっち(↓)。最近の恋愛もの。
じゃあのノシ
青海老