最近鬼のように少女漫画を読んできたのでパターンがある程度見えてきた。まず、一番好きな人(というか、最終的に引っ付く人)は最序盤に登場する。如何にして相思相愛になるか、というところに面白さがあるのだ(もちろん例外はあるけど、8割方はこのパターン)。
少女漫画を指して「結局くっつくだけだろ」と揶揄する男性は多いが、じゃあ少年・青年漫画は「優勝するだけだろ」とか「出世するだけだろ」、「魔王倒すだけだろ」と言われての反論はなかなか難しい。要は、テーマ設定は問題ではなくその過程を我々は楽しんでいる。
ということを、この年まで気づかずに過ごしてきたのが情けない。何を隠そう、私は「少女漫画m9(^Д^)プギャーwwwwww」という派閥の人間だったのだ。いやあ、お恥ずかしい限りです。
まいると恋愛経験値を貯めよう
概要
-
著者(私の主観と記憶に準拠)
佐藤ざくり。代表作に「おバカちゃん、恋語りき」や本作など。ファッションに強いらしい。
-
あらすじ(これも私の主観と記憶に準拠)
どブス(素材良し)な女子高生まいるちゃんが、メイクやファッションに詳しいイケメンに掃除を真面目にやってたら声をかけられて、その手腕で美人に変身。直ぐにブさいくな彼氏ができるも一日でフり、その後イケメンと恋愛も二ヶ月ですれ違いのうちに分かれ、さらに出会い系サイトで出会った男性とも幼馴染とも瞬殺で分かれ、めちゃめちゃイケめんに言い寄られた後にコレもバッチリフって最終的に最初のメイキャップアーチストとくっつく、と。
結構話題作なのにWikiが無い。誰か作ってくれ。 というか、他の作品の熱心なWikiは誰が作っているんだ?
最終巻表紙。ちなみに各巻主人公のアップで始まる -
概要(巻数、掲載誌・時期)
全12巻。マーガレットで2010~2014年頃連載。
感想
-
出会い
最近のツタヤは古本を売っているらしい、というのを最近知った。結構新しめの漫画が結構なプライスオフで販売されているのでこれ幸いと買ってみる。
ちなみに、ツタヤの古本はブックオフのそれに比べて死ぬほど汚いから気を付けて欲しい。めちゃめちゃ汚い。一冊水びだしにしただろう、みたいな本も平気で売り付けてくるあたりブックオフより凶悪である。 -
何故素晴らしいか
ほさて、冒頭で述べた通り少女(むしろ女性向け全般か?)漫画の正しい楽しみ方はいかにしてひっつくかという一点にフォーカスすればよいのだ。
まあ出会った瞬間に男が声かけてくれる時点で八割勝ってるというのは言い過ぎか? それはちょっと言い過ぎ? まあ現実もイケメンが声かけてくると勘違いしちゃうよね? そういうことも考慮してくんさい。
本作の場合は最初に声をかけてくるメイキャップアーチストといかにして恋仲になるか、というとこにフォーカスされている。要するに、他の男は全員かませだ。
ということは、他の男はどういった役割を担うのかというと、恋愛経験値を上げるための踏み台かつ、まいるがメイキャップアーチスト(以下天佑)への恋心を自覚し、発信するまでの発射台かつ、天佑に「実はまいるのことが好きだった!」と言わせるための布石でしかない。
まず一人目の彼氏ブサめん。コイツは完全にチュートリアルである。恋愛とはなんであるか、どういった人間なら付き合えるのかをまいるに自覚させるためと、まいるがかわいくなったということを示すためだけの存在である。
二人目の成くん(普通のイケメン。性格良し)は恋愛は結構気を配らないとかわいいだけじゃ上手くいかないということを示す踏み台。また、ここぞとばかりに天佑にアドバイスを求めるので、天佑との距離を(無意識的に)縮める役目も果たした。
三人目の社会人イケメンカス男(性欲の塊)は天佑の引き立て役でしかなかった。人間性が完全に腐っているので、言ってみればカス過ぎるから天佑が良く見えるという役割になるのである。
四人目の幼馴染は実はまいるが見た目さえ直せば性格良しの好物件であるということを示すと同時に、まいるにどういう人間がタイプか(この人じゃなきゃ、というタイプ)好きかということを自覚させるための役割。一番不憫だわ~
最後の他校の超絶イケメンマジもて男クンちゃらいけどまいる一途になっちゃったは、正直個人的にはそんなに必要なかった。蜜月をまいるに過ごさせるとともに、ふと気づいてしまった天佑への感情をストレートに表現できるようになるまでの期間という役割だったのだが、それ幼馴染クンでよかったんじゃない? というのが率直な感想である。確かにまいるが超絶モテるようになったということを示すには結構重要なファクターだったりもして、単なる彼氏候補以上の役割を複数担っていたというのも事実である(というのも、仲の良い女友達というポジションがこの漫画にはかなり少ないのである。基本彼氏候補だけで物語を回すからコイツが二つも三つも役割を担う必要が出てくる)。
そして天佑先生である。最近の高校生は二人でベッドに入ってもセックスしない選択肢があるのか? 一年以上かけて距離をつめたまいるの作戦勝ちとも言える瞬間
そういうわけで、五人のタイプの違う男を使ってまいるの経験点が上がるのを楽しむ漫画でした。 -
その他雑感
私が見落としたのかもしれないが、マイルノビッチというタイトルの由来ってどこかに書いてありましたっけ? なんとなく「マイルを貯める」という感覚で読んでました。間違ってるカモね。
まとめ
- 女性向け漫画こそ過程を楽しむ
- 数々の男性を踏み台にして経験点を貯めるのを楽しむ
- 男はけっこーかわいそー
最終話でとってつけたように男側へのフォローがあったのだが、まあそれは正直どっちでもよかったネ! 誰向けだよ!
他の恋愛経験値が溜まりそうな漫画の感想は以下。
じゃあのノシ
青海老